とんでもないパワーを持った作品だと思う。
ワンカットの中にいくつもの景色や空間を作り出していくのが本当にすごいと思う。
病院での暴動のシーンなどは観ていて本当に驚きの連続だった。
ただ、個人的にハマらなかった理由の一つに映画そのもののテンポに乗れなかったのいうのがある。カットを割らないということは利点も多いが、その分リスクも大きい。その負の部分が顕著に表れていたと思う。一つのカットに情報量を詰め込んでいくため、次に捉えるべき事象に移るまでの僅かな時間（主人公が部屋を移動する、カメラがパンする、など）が映画のテンポそのものを乱していたと思う。
そういった各カットの中にある“意図せざるテンポの弛緩”が映画全体のテンポ感にまで波及しており、最後まで気になってしまった。
ただ、そういったマイナス点をも消し去るほどの圧倒的パワーが作品全体を包んでおり、ただただ圧倒された2時間半だった。
