シートン

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版のシートンのレビュー・感想・評価

4.0
象徴性とか解釈とか、そういうものの貧弱さを感じさせられる

ヤーノシュの誠実さと、エステルによるヴェルクマイスター音律への批判だけが、この物語について考えるための手がかりだが、もはやそんなことさえどうでもよい。

地球が公転し、月が公転する。そしてそれぞれに自転する。子どもたちは親の帰りにかかわらず、シンバルを打ち鳴らし飛び跳ねる。人間どもは、ゆったりと話をし、あるいは沈黙を楽しんでいるかと思いきや、相手に構わず押し入り暴力を振るうこともある

その衝動を、完全に抑圧することをめざすべきだろうか。衝動的な暴力と、抑圧的な暴力。その衝突、それは外部から到来するのか、あるいは内部から噴出するのか。ただ、われわれはそれを眺めているほかないのか
シートン

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