Monisan

ストップ・メイキング・センス 4KレストアのMonisanのレビュー・感想・評価

4.4
観た。

凄い。これがたった2000円で映画館で観られる事が幸せだと思う。
89分と映画としては長い方では無いけど、劇場内でこのバンドが本当に演奏してくれているかのような没入感をたっぷり堪能できる。一曲が終わる度に拍手をしそうになっている自分がいた。

そして当然この時代のトーキング・ヘッズのライブを観る事はもう叶わないのだけど、美しくなっている映像と今の映画館の音響設備で、それを体験できる貴重な4Kレストア上映かと。

実はタイトル以外の内容は、観るまで全然知らなかった。トーキング・ヘッズの曲もあまり知らないし、演奏の映像も初めて見た。
デヴィッド・バーンが最初何も無いステージに出てきてラジカセのカセットをかける。リズムの鳴るラジカセに合わせてギターを弾き始める。格好良過ぎるだろ…
次にベースのティナ・ウェイマスが出てきて楽しそうに弾き始め、その後もスタッフはどんどんステージ上にセットを用意していき、ドラム、ギター、コーラス、パーカッションと演奏者が増えていく演出も痺れる。
映画には臨場感という言葉は多用されるけど、この作品こそ、まさにその場にいる感覚になる。カメラの台数とか考えたりもしたけど、ヒキの絵にカメラクレーンが写り込む様子もあまり無いような気がしたし、だいぶヨリのアングルでも自然にバンドメンバーの横に存在しているかのようで、ライブハウスに来ている観客よりも、最高の位置で体感させてもらっている。

なるほど、ライブ映画は沢山あるだろうけど、これが最高傑作と呼ばれる所以が、これを書いていて少しわかった気もする。

ライブ自体が超絶素晴らしいというのも勿論理由だろうけど。
デヴィッド・バーンとティナ、ギター、コーラス&ダンサーの2人がその場ランニングしながらの演奏とか可愛いし、楽しいし、テンションが上がる。ティナは演奏中、常に動いていてそれがコケティッシュで好きになってまう。
パーカッションの彼も楽しそうだし、コーラス勢との絡みも良い。
前半はあまり照明を使わずにシンプルな舞台演出(それがまたとてもセンス良い)なんだけど、後半は後ろのスクリーンも利用して舞台は暗めになる。デヴィッド・バーンの口元しか光が当たってない演奏シーンは、奇妙でトリップしそうになる。

あとはデカスーツ、驚いた。どういう発想なんだ。格好良いんだけど、滑稽で。上着脱いで分かったけどウエストもめちゃ幅広なのね。

メンバー紹介からのアンコール演奏、まぁ最高のライブパフォーマンスを映画館で実体験させて貰いました。
映画が終わった後に、ライブの後よくなる耳がポワーンとなる感じ、「ボヘミアン・ラプソディ」以来かな。
パブロ・フェロのタイトルも好き過ぎる。

公開中にもう一回、劇場に観に行こう。

ジョナサン・デミ、監督。
Monisan

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