ペイン

ストップ・メイキング・センス 4Kレストアのペインのレビュー・感想・評価

5.0
A24、good job👍

何度か観ているが、初めての劇場鑑賞。音楽ライブ映画史上の最高峰『ストップ・メイキング・センス』(4KレストアIMAX上映)。『マッドマックス FR』なんかに並ぶ、一生もののIMAXシアター体験だ。

私はこれまで音楽が好きだったわけでもなく、映画が好きだったわけでもなく、“ただ『ストップ・メイキング・センス』が好きな人”だったのかもしれない…なんて錯覚させられてしまうくらいに私が欲する全てのエッセンスが詰まったかのような“総合芸術”。

もしやA24最良の仕事なのでは❔(※次はなんとあのダーレン・アロノフスキー処女作『π(パイ)』を4Kレストア、公開するとか🕵️‍♂️)。Special Thanksにはやはりというべきかポール・トーマス・アンダーソンの名。

決してトーキング・ヘッズのヘビーリスナーとはいえない(※トーキング・ヘッズ的精神性を感じさせる映画は好き)私には、とても本作を楽曲面から語ることなどは出来ないので、あくまでジョナサン・デミ監督作史観での話をすると、意匠を凝らしに凝らしたスパイク・リー監督の『アメリカン・ユートピア』(2021)とは対極に、本作の“最小限にして最大限”を伝えてくるジョナサン・デミの演出は、もはや小津安二郎の粋なのではと思わされる(※実際に私はかなり小津みを感じる)。

デヴィッド・バーンをはじめとするキャストのしなやかな身体性(※やっぱりティナの一挙手一投足が可愛い😍笑)、“音”が立ち上がる瞬間の楽しさ、幸福感を見事なまでに“然り気無く”捉える。もしかしたら『アメリカン・ユートピア』の方を先に観た人のなかには、本作が“物足りない”と感じる人がいるのかもしれない🤔しかし、この天然素材そのものを最高純度で切り取った本作の輝きは、レストアされたことでより現代において意味、輝きを増すものになっているように思う。

未だに“『羊たちの沈黙』の~”と説明せねば理解されずらいジョナサン・デミという作家の先進性への再評価も今がその時なのかもしれない。たしかに『羊たちの沈黙』は称えられるべく立派な偉業を成し遂げた作品だが、私の中でのジョナサン・デミたるものはこの『ストップ・メイキング・センス』にギュッと詰まっている。
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