寝木裕和

ストップ・メイキング・センス 4Kレストアの寝木裕和のレビュー・感想・評価

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人生で500回くらい観てる作品を、IMAX体験で。(VHS 擦り切れるほど。)

今回のIMAX での上映で、個人的には少なくとも、ティナ・ウェイマスのベースプレイのカワイカッコ良さは3割以上増ししているかなと。

言わずもがな、音的にもベース&ドラムスの、特に低音がグッと前に出ているし、バーニー・ウォーレルの発するフリーキーな音の高音の煌びやかさも増しているので、リアルタイム且つ目の前で繰り広げられているライブであるかのように錯覚してしまう。

今回の4K上映で映像、音像ともに臨場感が格段に向上したから… ということもあるけれど、そうなってより一層痛感するのが、デイビッド•バーンによる詞の世界が、この80年代前半に取り上げていたことは現代の世の中でも通用してしまうという、凄まじく悲劇的な状況をも露呈する。
戦争、貧困、強き者による弱き者への搾取… 。

しかしながら、そんな現世をサヴァイブする私たちに希望がないのかというと、それはまさにその後バーン自ら脚本を書き、再びライブ映像作品に挑んだ『アメリカン•ユートピア』の中で語られる。
トーキング・ヘッズ時代とは少し違った、一筋の光を感じさせるバーンの言葉で。


この作品でのセットリストで、そしてこの絶妙なタイミングで演奏される「This Must Be the Place 」は、何度聴いても、そしてここで来る… と完全に分かっているにも関わらず、鳥肌が立つ。
寝木裕和

寝木裕和