おかちゃん

ストップ・メイキング・センス 4Kレストアのおかちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「Stop Making Senceがレストアか~。 そういう時代になったんだ…」他でも書いているが 、私にとってこの作品は記念碑的な作品だ。
卒業記念でアメリカ旅行している頃、San FranciscoのPia39で当時まだ流行し始めの単館シアターがあって(日本ではこういう映画館は無かった。大手資本の立派な劇場ばかりで、数十人単位で見る小造スクリーンで、ロビーや待ち室にも小綺麗なスタンド・バーがあった)、このポスターに目が止まり、フラッと鑑賞してぶっ飛んだ思い出がある。Late Showにも拘わらず、Yuppie風米人達がネクタイ振りほどいて踊りまくっていたのである。音楽文化の違いを思い知らされた。

"Stop Making Sense"と言っているのだから、感じるままに観れば良いのだが以下に私の久し振りの鑑賞で過去から感じてきた事を記してみる。
①【ROCK Musicの原点】
冒頭、デッキシューズ(Top-sider風)を履いたDavidが、ラジカセとアコースティック🎸のみで登場する。私は当時みた時に「エッ⁉️」唖然としてしまった。冒頭シーンでガッツリ心を掴まれた。ここで概ね2つの主題を物語っている。1つは、「単純なリズムパターンでも、強力なストローク・リフで充分grooveを造り出せる」という点だ。そうRock'n&rollは単純でダンサブルな音楽なのだ。'60年代以降Beatlesに触発されRockはドンドン複雑化するのだが、実は原点は単純なDance-Musicなのだ❗️これが彼らの存在基盤であり、Pank-Movementの主張する音楽的意味だった。
②【Rock-Showの原点】
2つ目は、①と同時に脳裡に浮かんだのは当時BigNameのBandはアリーナ級の会場でShow-upされたものになっていた。それはそれでやむを得ないのだが、本来のRock-Liveはせいぜい数百人規模(なんなら地下のライヴハウス)で感じるもの。だから、大掛かりなStage-setを組まず、敢えてSimpleなsetで見せる事で音楽の原点を見せようとしたのだ。(結局この見せ方は、最近の作品A-Utopiaにも続くのだが)。
この2点でガッツリ心掴まれ、彼らのLiveに引きずり込まれるのである。

③【Lightingの原点】
これも、先の2点と絡むが大掛かりなLightingをするのでは無く、単純な光,例えば顔の下からライトアップする演出とか、1人のCrewがLightを手で持ちMemberに光当て影をバックスクリーンに映す。そして、かの有名なLight Stand相手にDavidが踊る姿,これだけで充分意図するものが表現できるのだ。

④【白人文化と黒人文化の対峙と融合】
これは、American-Root-Musicのどのジャンルも聴き込んでいくと必ず登場する点だが、先から記している音楽的文化的現状を解体しようとすると、そこで問題として残る点は、生活している人の情感が必要となる(POP-Musicの宿命でもある)。そこで彼らが必要と感じたのは、Pファンクの連中だ。つまり奴隷制度がもたらしたAfrican文化=彼らの複雑なRhythmによるFunky-GrooveとEmotionalなシンセ音で単純な曲調に多彩な彩りを加える。長々としたImproや、超絶Guitar-techなど必要ない。強力なStroke-riffを裏ウチで入ってズラす事で充分なGrooveが得られるのだ。
そしてここが重要な点だが、彼ら(黒人達)と触れ合うことで「何て快適な居心地なんだ!」と発見する。自分達(白人)は、理性を重んじ西洋的知性の中で自らの生活や人生を律してきた。(ある意味、初期の彼らの作品はその文化的齟齬の過程だ)しかし、今になって考えると何と窮屈な居心地悪さだ!!と‼️Stop making sense‼️自らを聞いて感じるままに、流れに身を任せてみろ‼️と。これは'60年代の混迷したCounter-Cultureの主張と同義なのだ。スーツ姿の金儲け社会にドップリ浸かったサラリーマンに「美しい妻がいる。素晴らしい家がある。でも、この居心地悪さは何なんだ!?」Davidのぎこちないスーツと身のこなしは、まさにそれを物語っている。ここに、私は、私が見たYuppie達の踊る姿とカタルシスを感じるのである。
⑤【ガールズバンドの先駆け】
これも、この作品の重要な要素となる。まず、これ以前には本格的女の子の本音(しかも、男に敵対心を見せず、突っ張らず自然体で)を表現するBandは無かった。それを、Tinaはアッサリと演じた。しかも、ステージ内ステージで❗️当時、雑誌等でも雑誌内雑誌とか流行っていたのだが(それが、現在の袋綴じページへと発展していく)、その手法をRock-Showの中に持ち込んだ‼️
もう1点、その歌の意味は「女の子の週末は、Boyfriendと◯◯して、それが❌なら💊やってブッ飛ぼう❗️とっても楽しいわよ❤️」と言って男達を理性から突き放すのである。まさに、女性解放の先駆け的存在なのだ。

とまー、私も"Stop making sense"と言いながらグダグダと書いているが、今回改めて鑑賞して、当時の雰囲気と感じたことを整理する事が出来た。
そして、40年経た今の時代に"American-utopia"が出来てくるのである。彼の国も葛藤しながら、未だ混迷しているのである。我が国も同様の筈なのだが…?