しー

ゴジラ-1.0/Cのしーのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)
4.4
マイナスワンとしては4回目の鑑賞。
音楽が鳴るタイミングが頭に入ってくるとどんどん良さが増してくる。回を重ねるごとに、しみじみこの映画好きだなぁって感じる。


気がつけば興行成績がすごいことになり、アメリカでの興行が日本のものを上回り、様々な記録を更新、海外の栄誉ある賞を受賞している。

これまで映画作品のゴジラは全て眼を通して来たファンとしては、ここまでゴジラ作品が反響を呼んだのは信じられないし、ゴジラがここまでのコンテンツに成長し世界から愛されるキャラクターになったのは、本当に喜ばしい。

ここまでアメリカで成功した理由としてはPTSDを患った帰還兵への共感がアメリカ人はまだ記憶として新しいからというのがあるからではないか、などなど分析がなされている


さて感想。


白黒になったことは単に色彩を落としただけではなく、各場面の本来の色彩を考慮し綿密な調整がなされているとのこと。
総括するとモノクロ版で新たな発見を得た喜びが勝るが、モノクロ版の良い面もあればそうではない面もどうしても感じた。

良い面としては、戦後の映像のイメージと接続されたかのように、逆にリアリティを感じたシーンもあった。またカラー版で時折感じた佐々木蔵之介のやや強めの演技が、かなり落ち着いて見えた。家の中の会話のシーンは背景が見えづらくなる反面、ドラマに没頭できた。高雄が破壊された後、家に帰って来た敷島と典子が互いの過去の苦しみを吐露するシーンでの典子の一連のセリフはゴジラ屈指の名セリフだと思う。

また伊福部昭の音楽がステレオで取り直ししあまりアレンジがなされずに挿入されているが、海神作戦でキングコング対ゴジラからのファロ島のテーマの馴染み方がカラー版でもよかったがひとしお良くなったように思う。衝撃に備えろ!のところのタイミングが本当に良い。

ただカラー前提で光や構図を考えてきたせいでバランスが崩れているシーンもある。熱線のシーンは青色の光のまばゆさによって本来成り立つシーンだと感じた。敷島がバイクで帰って来たシーンは青空があったんだよなぁと感じてしまった。カラーで作られた作品は、カラーで観るべきです。とまでは言わないけどカラーを観た上で、の作品だとは思う。

モノクロならではだなと感じた良い面もあれば物足りなさを感じたシーンもある。新たな発見もあるのでカラー版に好意的な印象を受けた人は観てみると何かしらの発見があると思う。個人的にはかなり良かった。
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