みむさん

I Saw the TV Glow(原題)のみむさんのレビュー・感想・評価

I Saw the TV Glow(原題)(2024年製作の映画)
3.0
ベルリン国際映画祭にて。

ホラーと聞いていたけどさほどホラーではなかった。
デヴィッド・リンチの影響ぷんぶん感じる映像で語る、テレビに夢中になる青年とトランスジェンダーの物語。

監督脚本のジェーン・シェーンブルンもトランスジェンダーだそうだ。

90年代アメリカ、郊外の平凡な街に暮らす青年が、テレビでピンク・オパーク(?)を見て夢中になり、どん詰まりで退屈な生活から何かを見いだそうとする…という感じ。

はっきりいってよくわからなかったが、フィクション・架空・創造の世界にのめり込む純粋さとその危険さ、年月を経て変わるエンタメへの接し方、歳を取るにつれ変わる感覚、ファンダムの善し悪し、そのあたりをチクチク描きつつ、主人公オーウェンの恐怖とどん詰まりを見守る映画かなあ。

トランスジェンダーのキャラクターについて、話の中で自認している様子を観客に示すような場面はあったがそれを主題にせず特別視せず、登場キャラクターの一部として交錯させていることは好感。

個人的には完全に雰囲気映画(雰囲気>ストーリー)に見えて、一度観た時点では好みとまではいかなかったが、今後の監督のキャリアによっては何年か後に見直したくなるかもしれない。