イランで有名なマフマルバフ監督作品
2001年製作、一応フィクションだが、限りなく実話・ドキュメンタリーに近い内容
1990年代のタリバン政権下のアフガニスタンが舞台
タリバン政権から逃れてカナダに逃亡した女性ジャーナリストが「日食の起こる日に自殺したい」という妹の手紙を受け取り、妹を救いにタリバンの本拠地カンダハールを目指すロードムービー
(妹は地雷を踏み大ケガをして脱出できなかった)
冒頭から女性に就労と教育の自由がない事が分かる
ある女子学校の先生の話
「明日からこの学校は閉鎖されます、女子は家にこもりきりになります、苦しくても自分で乗り越えてください、希望は捨てないでください、世界のどこかの国が助けに来るかもしれません」
女性はブルカという顔を覆い隠すベールを必ず着用する、絶対に家族以外に顔を見せてはいけない
男子たちは神学校で1日中コーランの暗唱、銃や刀剣のそれぞれの特徴の暗記を行っている
地雷を踏んで片足を失った人たちが義足を求めて病院施設に押し寄せる
(義足は約1年待ち)
病院では女性がブルカを外せないので診療が非効率的
(仕切られた布に穴を開けて、穴から口や目を見せて診療してもらう)
病気は9割以上が飢えや井戸水を飲んだことが原因
盗賊が現れて銃で脅し、金品や食料などを容赦なく奪っていく
この映画は約20年前の状況を見せているが、1年前にアメリカ軍が撤退してタリバン政権が復活したので、現在もおそらくこの映画と似たような状況
2ヶ月前にアフガニスタンを映したニュース映像
多くの女性たちが職業・就労の自由を求めてデモ行進をしていると、タリバン兵士が発砲した
ある大きな橋の下に生活困窮者が数百人集まり、集団で麻薬中毒になっていた
(民衆の貧困の状況がひどい)
川岸は汚水と麻薬の匂いが充満し地獄と化していた
世界はウクライナ戦争に目が向いているが、アフガニスタンも負けず劣らず悲惨な状況下にある
そのことを世界は忘れてはいけない、と改めて思った