Omizu

プラットホームのOmizuのレビュー・感想・評価

プラットホーム(2000年製作の映画)
4.2
【2001年キネマ旬報外国映画ベストテン 第7位】
『長江哀歌』『帰れない二人』のジャ・ジャンクー監督作品。ヴェネツィア映画祭コンペティション部門に出品され、カイユ・ドゥ・シネマのベストテンにも選出されるなど世界的に高い評価を得た。

あー、やっぱりジャ・ジャンクー大好きだ。始まって数秒でもう、これは好きなタイプのジャ・ジャンクーだ!となった。最高。

幼馴染の四人を主軸にした青春もの、とされるが、そこに中国の実情や問題点を密かに込めるあたりは流石としか言いようがない。

映像のダイナミズムとリアルな役者陣のアンサンブルに惹きつけられ目が離せなかった。

最近の作品まで出続けているのが彼女だけというのもあり贔屓目に見ているのかもしれないが、やはりチャオ・タオは素晴らしい。単純な美人、というともうひとりの女性なのだが、チャオ・タオには惹きつけられる演技と存在感がある。どうしても彼女を目で追ってしまう。

引きで捉えられた美しいショットの数々は本当に素晴らしく、ジャ・ジャンクー十八番のあえてのダサい音楽シーンも最高。今作はこれまで観たどれよりも音楽が多い気がする。

演劇団の四人は時代の波や家族の問題、経済、恋愛といった荒波にもまれて散り散りになっていく。中国独特の人情とドライさがいいバランスで保たれている。

バスやトラックでの移動シーンが多いが、タイトルのプラットホームのある電車には彼らは経済的に乗れないようだ。そこも皮肉というか。でも四人がプラットホームに立って、人生という電車に乗るか乗らないかという躊躇いを描いているとも言える。
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