shuki

プラットホームのshukiのレビュー・感想・評価

プラットホーム(2000年製作の映画)
4.9
ヤバい。時間の流れ方に衝撃。
寒色の中の赤の配置。
生年ベスト候補

ブレッソン好きだと言うけれど、一切カメラは寄らないよね。

再見
悉く決定的瞬間を逃すカメラはブレッソンの発展形と言えるかもしれない。ブレッソンは"切り取る"事に映画のアイデンティティを見い出したわけだけれど、ジャ・ジャンクーは時間の表現にそれを見い出したのだろうか。
「煙草吸うんだね。誰に教わったの?」「随分昔の話よ」の会話を聞いた瞬間、気付けば長い時間を彼らとともに過ごしたことに気づき深く感動する。しかしこれは実際には2時間ほど過ごしただけであって錯覚にすぎない。デヴィッド・フィンチャーの言葉を思い出す。「良い監督とは観客が気づかぬうちに遠いところに連れて行くことが出来る監督だ」。ワンショット単位での過剰なほど丁寧な描写と持続して流れる時間と、シーンをまたぐ度に大小様々に行われる余りにも大胆な時間の省略とのギャップに、時間感覚が吹き飛び、ふと立ち止まって振り返れば人生を歩んだようかのような気分になる。ジャ・ジャンクー映画の広がりは特有で壮大だ。そして、自分は大きい映画が好きだと改めて。
しかし、時間の表現は映画固有のものなのだろうか。演劇そのものを画面内に内包できてしまう時点で映画は映画でしかない訳だが。
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