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BORDER 戦場記者 × イスラム国のganaiのレビュー・感想・評価

4.0
TBSドキュメンタリー映画祭 須賀川拓監督と映画内でインタビューを受けていた国境なき医師団(MSF)の白川優子さんのトークショー付きの回で鑑賞。

壊滅したと言われている過激派組織イスラム国(ISIS)だが、その思想に共鳴して各国から集まった女性やその子供達が今も難民キャンプでその影響下の下に暮らしているという。

TBSテレビ記者の須賀川氏はイラクから国境を超えてシリア北部に入り、市場で売り買いする一般の人々、逮捕投獄中のISIS関係者、そして難民キャンプの女性や子供達を取材する。

およそテレビでは放映出来ないような凄惨な映像が展開され、まだISISの残党がいる恐れの中で人々は口を閉ざし、須賀川はじめスタッフも襲撃に備え常に緊張しているのが伺える。

また、MSFの白川さんは連合軍の爆撃を逃れ家族で地雷原をに入る選択を迫られた重傷者の治療の様子を涙ながらに語る。

逮捕中のISIS関係者はISISのプロパガンダを信じて中国ウイグル地区での迫害を家族で逃れてメンバーに加わったという。ISISの現実を知り加入を後悔してはいるが、中国に戻るくらいならこのまま投獄される方がマシだと答えたのが印象的。

難民キャンプでは真っ黒なチャドルで全身を隠した女性と子供達に取材するが、ここでも沈黙で迎えられる。なんとか言葉をもらおうと懸命に子供達に語りかけるが「お前の首を切り落としてやる」という拒絶の言葉を受けて取材は終わる。

トークショーで須賀川氏は現在注目されているパレスチナ/ガザも踏まえて、民族が違えば思想や文化も異なるという事も含めて互いを理解する事。我々はこの問題にのめり込み過ぎず、でも苦境にある人々の事を忘れないで関心を持ち続けて欲しい。それが彼らに伝わって励みになると語っていた。
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