さよこ

不死身ラヴァーズのさよこのレビュー・感想・評価

不死身ラヴァーズ(2024年製作の映画)
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【ヒロインは何度も初恋をする❤‍🩹】
恋愛過ぎない恋愛ものっぽかったので試写会エントリー。松居監督のアフタートークレポートもあるので、読んでもらえたらの嬉しいです🙌
※スコアは公開日以降に追記します

❤‍🩹全体の感想
両想いになると相手が消えてしまう、というコメディともSFとも思えるテーマで一気に駆け抜けていった。消えてしまうと分かっていながらも恋に向き合い、果敢に成就させようとするヒロインの姿は"人生で何度初恋を経験するんだろう"と頼もしくも切なく見えた。そして恋愛を軸にしながらも、恋愛を伴わない男女の友情も描かれていたのが良かった。

❤‍🩹脚本
果たしてこれはSFなのか…?最後に種明かしはあるのか…?という期待と不安の入り混じった気持ちで観てた。でも振り返るとちょっとずつヒントが隠されていて、ラストにかけての畳み掛けが良かった。

❤‍🩹ファッション
主人公はその時々で髪型や服装がコロコロ変わるんだけど、それは男の好みに合わせたという感じではなく、純粋にファッションが好きっていうのが根底にありそうで、良い演出だなって思った。

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📝この先、制作アフタートークレポートです
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司会の奥浜レイラさんの映画の感想や考察は、なるほどー!と思うことも多かったのですが、ここでは割愛し、松居監督にフォーカスしたレポートになります。3つ目の質問以降は一般参加者からの質問になります🙌

司会:この映画を制作したきっかけは?
監督:もともと10年以上前から、この漫画を映像化したいと思っていた。当時と今の38才の自分の感覚はちょっと違うけど、当時のその時の気持ちは自分にとって大事だからやろうと。でもやっぱりこうして観るのは気恥ずかしさみたいなものがありますね。

司会:原作の漫画のどんなところに魅力を?
監督:原作は、すごくジャンル分けがしづらいんですよね。これは恋愛なのか、サスペンスなのか、青春なのか、ホラーなのか…ジャンルを固定できないところに魅力を感じました。ただ、漫画では心臓飛び出るシーンがあったり、けっこう漫画的な表現があって、その辺りをどこまで映像に落とし込むかけっこう悩みました。

司会:前田敦子の登場によって場面が転調するような展開が印象的でした。
監督:そうですね。このSFのような出来事の正体をあの場面あたりからヒントが出るようになって、これはSF?現実?と、この作品を観ている皆さんがどう思ったのかは(SNSなどの)リアルタイムなつぶやきで見たいくらいです笑

(※ここで前田敦子の台詞についての質問などがありましたがネタバレを含む回答だったので下のほうにまとめて記載しています)

一般:本作は共同脚本とお伺いしましたが、どういう棲み分けで脚本を作っていったのでしょうか。
監督:脚本は、映画『私の優しくない先輩』という映画で脚本を手掛けている大野さんという方で、この『私の〜』の監督はアニメ監督(=山本寛監督)が手掛けてることもあって、テンションが上がったら突然ジェットコースターがビューン!と登場したり、とてもアニメ的な演出をされていて、でもテンションの高さに加えて哀愁や切なさもあって。今回、映画化するにあたって自分の演出のなかに閉じ込めるのは良くないなと思って、大野さんと一緒に脚本を作ることにしました。大野さんが脚本のなかで風呂敷を広げて、それを僕が映像化する。アニメの脚本だとト書(※台詞以外の動作や行動を指示すること)が多く書かれているんだけど、それを僕のほうでここは表情だけのカットにしようとか、このままだと情報が多くなるから引き算して…とか映像にするにあたって考えたりして。あと原作だと"なぜ両思いになると相手が消えてしまうのか"という理由までは描かれていないので、大野さんやプロデューサーの方たちと話し合って、オリジナルを作り上げていきました。

一般:親友のキャラクターがアセクシャルのように思えたんですが、それは意識されたのでしょうか。もし意識されたならどのようなチューニングをされたのかお伺いさせてください。
監督:原作の設定は、ジュンが主人公でリノにアタックして"リノが消える"という設定になっていて、ジュンの幼馴染がイケメン田中で、登場するたびに違う彼女を連れているような感じなんだけど、ジュンを演る人がなかなか思いつかなくて、企画がうまくいかないまま10年が経ってしまった。そしたらプロデューサーが「一回リノを探しましょう!」と提案してくれて、それでオーディションをしたら見上さんが来てくれて。見上さんの先の読めない感じとか、あの雰囲気に魅力を感じて起用が決まって、じゃあリノが好きな人を追いかけるようにしたらどうかなと。今のご時世で男子が女の子を好き好き追いかけて行くのも怖いよなぁっていうのもあるし笑 それで原作サイド、制作委員会、見上さんとか関係者に確認してOKもらって。特に見上さんなんて自分が追いかけられる役で決まってたわけなので真逆の役になりますからね。あとはイケメン田中が難しいなぁって。ここも男女入れ替えて女子のタナカにする…?とかも考えたんだけど、そうすると絶対リノとガールズトーク始めちゃうよな。そしたら"消える"の正体をすぐ言っちゃうだろうから話が進まない。じゃあ、ここは男のままにして、リノとは恋愛にならない雰囲気というか、腐れ縁みたいな雰囲気だったらどうかという感じで作っていった。台本にはないけど、一応裏設定としてはそういうアセクシャルというのもあったので、ちゃんと詳しい人に見てもらって違和感がないかを確認しながら作っていきました。

一般:劇団EXILEの佐藤寛太くんを起用してくれてありがとうございます。佐藤寛太くんの方から監督にDMを送ったとお聞きしました。起用の決め手を教えてください。
監督:これまで一緒に仕事をしたことがなかったけど映画『軍艦少年』を観たときに、あの消え入りそうな感じであったり、あと素朴さと、心の強さと…それと、それとLDH所属(=劇団EXILEの所属事務所)とのギャップに惹かれました笑。LDHって…ほら、ちょっと怖い人の集団っていうか、カツアゲされるんじゃないかみたいなところあるじゃないですか笑(※会場も笑う) でも彼のお芝居や文章をみたときに、とてもイメージが変わって。まぁ実際会うとすごく落ち着きのなかったですけど。役者さんて若い方でもある意味達観してるというかものすごく落ち着いてる人が多いんだけど、彼は全然でずっとうろうろしてるし、こないだも完成披露試写会で舞台に立ったんだけど、全然バミりの位置に立ってない笑 ただ、それが"大学生ジュン"を演るにはすごく合っていた。あのシーンはリノ的には"こいつは(恋愛対象として)無いわ"て思わせたいし、良い意味であまり日本の俳優にはない"らしさ"が出たら良いなと思った。あと"中学生ジュン"のフィジカルの強さも大事で、彼的にはすごく肝だって言ってましたけど笑。校庭で出会うシーンは、台本では"とんでもない動き"としか書いてないので、本人に何か動きない?って聞いたら"側宙ですかねー"て言われて。側宙っていうのは手を床につかないで側転をするやつなんだけど「成功率は五分五分」っていうもんだから、五分五分かぁ〜!撮影の前々日に聞きたくなかった〜!てなって「でも片手側転なら100できます!!!」ていうのでじゃあ100のほうでって片手側転になった。この動きのアイディアは自分じゃ思いつかないから出してもらえて良かった。

(※ここで制作中の印象に残ったエピソードについての質問がありましたがラストシーンに繫がる回答だったので、こちらも下のほうにまとめて記載しています)

一般:最後までファンタジーぽい感じで進んでいくのかと思いきや、現実的な展開だったのが意外でした。この展開にした背景を教えてください。
監督:ここは自分の中で、一番迷ったり考えたりしていたところで、10年前ならファンタジー路線で行ききったと思う。なんせ自分も心臓を投げ合うシーンは過去の作品で撮ったことあるし、そういう演出をできるポテンシャルはあると思うと思うんですよ!笑 ただ、本作では大学まではファンタジーと向き合って、大学からはリアリズム、むしろリアルな方向にしようって思った。それは"今の自分"が撮るからそうした。ファンタジーで撮りきることもできたれないけど、昔の自分が確実に映像化したいと思った作品を、今の自分として撮ったらどうかっていう感じですかね。

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⚠️ここからはネタバレを含む質問&回答です⚠️
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※ここから先は公開日以降に追記します🙏
さよこ

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