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オスロ・ダイアリーのnaobtのレビュー・感想・評価

オスロ・ダイアリー(2018年製作の映画)
5.0
オスロ合意については、なんとなく「失敗した協定」という認識で詳しい経緯は知らなかったので、大変勉強になったし90年代に争いを辞めるためにこんなに苦心した人々がイスラエルとパレスチナ双方にいたことを初めて知った。

当時の映像や日記から、疑心暗鬼の中で相手と自分の握り拳を開こうとする中でのヒリヒリ感が伝わる。

パレスチナ側の1人から「あんたに友達を殺されたから、話すことなんてできない」と言われたイスラエルの将軍が「それを繰り返さないために話し合おう」と返す。
こんな切羽詰まった状況でも前に進めることを諦めなかった人たちが結んだオスロ合意だったんだと理解できた。

オスロ合意後の虐殺や暴動、そしてネタニヤフやハマスがこのときから台頭していたのを映すなか、
交渉したイスラエルとパレスチナの人々の個人間での親交は続いていたのが希望を持てた。
結局何も知らない他人同士だと、相手を人と思えず争い続けてしまうという本質を見せられた気がした。

冒頭の「この話の結末はまだ描かれていない」が悲惨さだけが残る結末にならないことを祈る。
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