ノッチ

猫とカナリヤのノッチのレビュー・感想・評価

猫とカナリヤ(1927年製作の映画)
3.5
遺産を狙う親族達から狂人扱いされ死んでいった大富豪サイラス・ウェスト。

その死から20年後に遺書を開封するため親戚縁者達が集まった。

皆が息を呑む中開封された遺言状には、何と一番の遠縁であるアナベル・ウェストに財産を譲る旨が記されていた。

しかし、その相続には彼女の精神が正常であること、と条件がつけられており、やがて屋敷の中で奇怪な事件が起こり始めるのであった。

パウル・レニがアメリカに渡って監督した作品第1弾。

不気味な古城に集められた数人の男女、開封される大富豪の遺言状、謎の怪人の登場、そして殺人・・・とくると、オールド・ファッションな本格推理小説ファンにはたまらない設定だろう。

一癖も二癖もある登場人物たち。

おののく美女。

映画って、スリルと程よいユーモアとロマンスがあれば他には何もいらないんじゃないか。

内容は、いわくつきの遺産をめぐって古い屋敷に集まった相続人候補たちが巻きこまれる一夜の顛末、といったところでしょうか。

怪人は徘徊しますが、超自然現象は起こりません。

サイレントですが冗漫さや違和感がなく、テンポよく物語がすすんでいきます。

画面も驚くほど鮮明で、古屋敷の怪奇な雰囲気を熟成し、サスペンスを盛り上げます。

結末にツメの甘さはあるものの、最後まで目が離せません。

こりゃ、サイレントの傑作だと思いますよ。

落とし方もなかなか好みです。
ノッチ

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