Iwa

スターリンへの贈り物のIwaのネタバレレビュー・内容・結末

スターリンへの贈り物(2008年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

カザフスタンのどこまでも広がる地平線と手が届きそうな空は美しいのに、それを踏み躙っていくソ連よ…

おじちゃんが素晴らしすぎる泣
ソ連版祖父版おばあちゃんの家という感じ…鶏殺しちゃうのもね…「動くな、死ね〜」は豚だったからね、やっぱりシベリアよりマイルドだね…

⚫︎強制移住
スイカを朝鮮人がお祝いにくれたり、
ポーランド人(男の人はそうなんよね?)がいたりと、強制的に作られた多民族地域

ユダヤ人の移送シーンは完全にナチスのそれを思い起こさせる
彼らはナチスに勝ったことがアイデンティティであり輝かしい栄光なのにね!

人の生活を根こそぎ奪う強制移住(しかもユダヤ人は収容所…)は最悪
その最悪な中で、あのカップルやおじちゃん、少年、あの家無し子達も、幸せを掴もうとしているのに、権力はそれさえ踏み躙っていく、容赦ないな

⚫︎カザフスタン人の警察
ああいうやついるんだろうな…権力握ったからって偉そうに…

ただまあ、最初に死体を「人」て数えて訂正されてた(ロシア語だと何だろう…)ように、被支配民たちを人道的に扱わないようにという徹底した教育を受けてるんだろうね。あまつさえ彼はあっち側だから

一瞬おじちゃんの子供とか、本当に親戚なのかと思った
それくらい嫌悪してるよね、
まあ彼だけじゃなくてソ連兵は基本嫌いだったな、シカトしすぎてアイツが「障がい者なんだ」ってフォロー?しなきゃいけないもんな

おじちゃんが家族を失った飢饉も、ソ連がいなければ起こらなかったやつだよね?
憎んでもあまりあるわ

あいつ多分あの女の人のこと普通に好きだったんだろうけど(そういう感情があるならの話だが)、
権力構造にいるから上司が犯すのも聞こえない場所に逃げるだけだし、
モノにできるから口説く必要もないと思い込んで、ああいう結末になったんだろうな

⚫︎おじちゃん
久しぶりにこんなにほっこりした
乗馬姿もかっこよかったしな、
線路から岩退けた時に子供が「神様より強いね」って言うのとかもほのぼのすぎる

お友達も可愛い
俺が女だったらお前に嫁ぐけどな!って最高の褒め言葉すぎる

⚫︎イスラエル
よくあるよね、こういうソ連とかナチスの迫害を描いて、主人公が今はイスラエルに幸せに暮らしてます、みたいなの。

普通に無理よな。
ソ連が人々にしたことと、イスラエルがパレスチナにしたことは、非人道的という点で同じだろ。

あの男の子が持つであろう、自分や家族を酷い目に合わせた国に帰りたくない、安住の地が欲しいと思う気持ちは分かる。
でもそんな感傷的な気持ちで擁護できるような国じゃない。

ていうか大好きなおじちゃんもムスリムじゃん、同じムスリムの土地を奪って作った国に住むのってどういう気持ちなの?

いや、だからといってこの映画が嫌いとかあの男の子が嫌とかではなくて、
このことだけを考えるとよう分からん…ってだけ

⚫︎ロシア語被せ
久しぶりに聞いたな
最初に聞いた時衝撃だった…え、みなこれで普通に観てるの??ってな…
いやまあ後ろの音声も聞こえるから感情は伝わるんだが…
Iwa

Iwa