このレビューはネタバレを含みます
教会の権威が少しずつ落ち始め、若者のデモなどが頻発するローマ。修道院のシスターになるための見習いとして、ローマの教会に子供たちの教師として働くことになったマーガレット。彼女は教会が企む恐ろしい計画を知り、おぞましい事件に巻き込まれる。
オーメンの主人公で悪魔の子ダミアンの誕生の物語。とにかく気持ち悪くて不気味で怖かった。少し観たことを後悔したくらいだった。
特に出産のシーンが嫌だった。子を宿して、生命が誕生する事自体は、本当に奇跡に近いもので、容易いものではないから、出産シーンの痛々しさなんかは、ある意味でそう遠くない描写だったのかもしれない。しかし、泣き叫ぶ声や、気の狂ったような表情の移り変わりは、見ていて気持ちの良いものではなかった。
また、教会の権威回復のために、反キリストを生み出そうとする人間の思考の恐ろしさを感じた。自分たちの保身のためなら、平気で人の道を外すことができてしまう。宗教や強い思想を持った組織では、その組織内の常識が全てになり、一般的な感覚は失われてしまうのかもしれない。宗教の異常さという点では、ミッドサマーでも近いものを感じた。
唯一の救いだったのは、マーガレットが自分が悪魔の子を産む母親だと知った後も正気を失うことなく、その子を殺して悲劇を終わらせようとしたところ。結局ダミアンを殺すことはできなかったが、マーガレットとその娘が生きていることは、今後助けになるのではないかと思った。
全編を通して、気持ち悪いなと思うことが多かったが、オーメンという作品に興味が湧いたので、続きを見てみようかなと思えた。