前日譚となる本作を鑑賞する前にもう何度も見た「オーメン」を再鑑賞したところ、まあなんとテンポの良い傑作なんだろう、とあらためて思った。ダミアンの出生を追うミステリーを軸に無駄をそぎ落とし、残酷な事故や自殺シーンでインパクトを与え、ジェリー・ゴールドスミスの音楽で盛り上げる。「エクソシスト」の大ヒットで人気ジャンルとなったオカルト映画を「オーメン」が牽引した。「エクソシスト」に引けを取らない傑作であろう。その続編は前作を踏襲、大人になったダミアンを描く三作目は一、二作目を踏襲することは難しく、期待を裏切ることになる。ダミアンが登場しない四作目には最早魅力はない。
そんな「オーメン」シリーズの前日譚に当たる本作は一作目のミステリー＋死のスタイルを踏襲し、これに教会の負の側面である性暴力を絡めた現代的なアレンジとなっている。ホラー映画を期待しての死のボリュームが少なく、テンポが悪いのは残念なところだが、その分、不気味さは増している。最後までテンションが高い良作だけど、やっぱりエンタメに寄ったオリジナル一作目の鑑賞当時のトラウマ的感覚には勝ってないなぁ。
