メッチ

オーメン:ザ・ファーストのメッチのレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
2.4
誕生譚という作品ではありましたが、歴代シリーズとは別ものでビジュアルで体感するホラー。

作品全体的にビジュアルも空気も不気味でしたし、徹底的にジャンプスクエアを盛り込んでいて怖かった。誕生譚という観点としては良かったかと思います。
ただ、1作目のような怖さとは違う怖さと不気味さだった気がしました。

そう思ったのも、1作目の怖さは養子に来たダミアンが実は悪魔の子だったという「身近な恐怖」だったからだと思います。それに、「omen」とは「予兆」や「前兆」という意味もあり、周りの人が不可解な亡くなり方をしていくため、これから何か予期せぬことが起こるのではないかという予兆が、その当時に制作された時代背景のアメリカとソ連が冷戦の真っ只中だったこと。アメリカ内でも身近な人が共産主義者だったり、「実はあの人がソ連のスパイ」だったり、制作している側もみている側も「身近な恐怖」があったからヒットしたかと思います。つまり、その時代にあった恐怖を作品に落とし込んでいたからでしょう。
そんな1作目に対して本作はというと、「身近な恐怖」の対象が主人公マーガレットがつとめる修道院だったかと。その修道院は何か隠している不気味さは伝わりましたが、陰謀が本作の主軸だったように感じて、「具体的な恐怖」というより「抽象的な恐怖」というように恐怖が薄まった感じがしました。
修道院は実態としてあり、そこで起こった恐怖体験が巻き起こります。ただそれが、どれが現実でどれが幻覚だったのかが曖昧だったため、さらに恐怖が薄まってしまう要因に感じてしまいました。

纏めると、つとめ先の修道院が何か隠しているところは、1作目のどこか不気味なダミアンと対になっています。しかし、実態のある恐怖がオーメンシリーズの魅力だったかと思いますが、本作は幻覚からみてしまう心霊の要素という実態のない恐怖が入り混ざっていたため、誕生譚をみていたけれどもどこかで違うものをみていたように感じました。
メッチ

メッチ