mare

骨のmareのレビュー・感想・評価

(1997年製作の映画)
3.5
前二作よりも明らかにセリフが減り、説明からはかけ離れながらも漠然とした関係性が歪なのが伝わってくる作風。総じて貧困というテーマが人々の心を退廃的なものにしてしまうようにも見えるが、当の本人は生きていくこと=金やその日の飯を得ることに必死で食い繋ぐことで精一杯。そこに無機質さをもって覆い被さるブレッソン的アプローチは異様な静けさと同調することでこれまでの作品以上にその影響力を意識させる。手とドアの往復を見せられるとシネマトグラフへの憧れがどうしたって隠し切れなくなる。この作品を契機に「ヴァンダの部屋」への扉が開かれるわけか。次作の救いのない深淵を観てしまった自分からすると、ワンシーンのみの笑顔のやり取りがまだギリギリ希望を抱かせる象徴的なシーンに思えてくる。
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