ケイタカハシ

大日本人のケイタカハシのレビュー・感想・評価

大日本人(2007年製作の映画)
2.9
期待の高さの裏返しとは言え、あまりにも叩かれすぎた作品だと思うんだけどなあ。

当初から所詮は素人の映画だなんだと言われたが、後年になってみれば「あれ?これ大日本人じゃねーか!」と言いたくなるような展開、演出の日本映画をちらほら見かけるのである。賛否両論(否が8割)なラストだって、後年のドラゴンクエストyour storyとかさ、あれ大日本人のオチのつけ方みたいなもんでしょ。プロ監督が大日本人式のオチを取り入れて得意顔してるんだからこっちも再評価してやれよ。
そしてシン・ウルトラマン。冒頭のウルトラQ時代の怪獣紹介の仕方、怪獣がウルトラマンと対峙する際の怪獣名の字幕の入り方、完全に大日本人を踏襲しているだろ。……言い切ってみたが自信がなくなってきたな。お願いだから誰か庵野監督にその点を聞いてくれ。

まあとにかくですね、この作品を年間ワーストに挙げた批評家もいたみたいだが、そもそも低レベルな日本映画の中では並のレベルだという事を言いたいんですよ。初監督作にしては上出来ではないが普通だろ。他の芸人の映画を観てみなさいよ!当時乱立していた、ミニシアター系の「〜との奇妙な共同生活」みたいな単にツッコミ不在で変人がウロウロするだけでシュールを自称するウンコ映画と比べてみなさいよ!断然面白いだろ!
…何?予算規模を考えて比較しろ?確かに大予算な本作をミニシアターとかと比較しちゃいかんか。…いや、でも大予算でスベる映画なんて他にもいっぱいあるじゃない。踊る大捜査線3よりは面白いよ。スーパーマリオの実写映画よりは面白いよ。何と比べてるんだ。

以降の松本監督は「逆に」と「あえて」を連発する最初から言い訳の塊みたいな映画しか作れなくなった。本気でやりたいことを破綻を恐れずぶち込めたのは本作だけだと思っている。
更に言えばこの映画以降、松本人志自体が消えた。いなくなった。まだいるじゃないかと高村光太郎はテレビを指差して言うが、智恵子と俺はいないと言う。あれは本当の松本人志ではない。ほんとの松本人志が見たいと言う。
あんなワイドショーで昭和な意見をさも新しい視点でしょみたいな顔で言う金髪マッチョ男が松本人志のワケがないのだ。本当の松本人志は消えてしまった。大日本人で描かれたパラレル日本に旅立ってしまったのだと思う。みんなが叩くから!今からでも遅くない。比較的マシだったこの映画を褒めろ!そしたらきっと松本人志は帰ってくる。無表情でいつだって最高にボケるあの松本人志が。キリストも復活したんだから松本人志も復活する。俺は信者だ。お前らも信じろ。