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死の谷のKuutaのレビュー・感想・評価

死の谷(1949年製作の映画)
3.8
ラオール・ウォルシュをもう一本。ボガート主演のノワール「ハイ・シエラ」を西部劇に翻案したセルフリメイクだそう。元ネタは未見。

脱獄したガンマン(ジョエル・マクリー)と、放浪する女(ヴァージニア・メイヨ)が出会い、堅気になる前に「最後の列車強盗」に挑むが…。

家を持たない2人。社会のアウトサイダーが安住の地を求め、アメリカという荒野を彷徨うが、最後に行き着いたのは「死の谷」だった。

ガンマンはかつて愛した女の幻想を求め、当初は彼女に似た堅気の農家の女に惹かれる。だが、ある展開を通し、「家を持つ」彼女とは同じ世界で生きられない事を理解する。女性の姿もちゃんと描きつつ、最後には悲惨な結末が待っている。ラストシーン、モンタージュだけでドラマを生み出す、見事な編集だった。

ノワール調ではあるが、西部劇としての楽しさもきちんと描かれている。引きの構図での美しい荒野や、列車や馬車に飛び乗る、飛び降りるアクションの数々。特に、序盤の強盗と駅馬車のチェイスシーン、馬を前方からローアングルで捉える構図が新鮮で、躍動感も素晴らしかった。76点。
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