kkkのk太郎

ハルモニアのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

ハルモニア(2024年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

それぞれに事情を抱える4人の男女の友情を描く短編ヒューマン・ドラマ。

監督/脚本は『帝一の國』『スマホを落としただけなのに』シリーズに出演する俳優、千葉雄大。

Filmarksさんのオンライン試写会に当選したため、一足早く鑑賞させていただきました。Filmarksさんありがとうございます😊

さて、本作は「アクターズ・ショート・フィルム4」というプロジェクトの一環として制作された短編映画であります。
これは衛星放送局WOWOWの開局30周年記念プロジェクトであり、今年で4回目。人気俳優にメガホンを任せ短編映画を制作。それで「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF & ASIA)」というコンペのグランプリを獲っちゃおうという企画のようです。

過去には森山未來さんや永山瑛太さん、土屋太鳳さん、さらに元AKBの前田敦子さん、声優の津田健次郎さん、狂言師の野村萬斎さんなどといった個性豊かなメンバーがこのプロジェクトに参加しています。

千葉雄大さんが参加するのは今回が2度目。
前作『あんた』(2022)は、主演の伊藤沙莉さんがSSFF & ASIAジャパン部門のベストアクターアワードを受賞したり、カナダの国際メディアフェスティバル「Banff World Media Festival」で短編映画部門にノミネートされたりと、高い評価を得たという。これは未見であります。

千葉雄大、2度目の挑戦。
率直に言わせてもらえば…つまんない。
千葉雄大ファンなら喜ぶかも知れないけど、そうじゃなければ普通にダルい。

4人の男女の会話劇であり、ワンカットが非常に長い。役者の力量が試される作品であり、この辺りは俳優監督だからこそといった感じか。

マタニティブルーの女性、未婚のキャリアウーマン、ゲイの男性、そして彼らの潤滑油的な存在であるムードメーカーの青年。この4人の心情の機微が描き出される訳だが、なんちゅうか感情のボルテージの上昇下降が極端すぎない?パーンと熱くなったり、そうかと思ったらキューっと冷えたり。日常を切り取ったつもりなのかも知れないが、こんな冗長不安定なグループには属したくない。

そもそもこの4人がどういう関係性なのか、そこが見えない。友人だということはわかるが、どこで出会いどのような過程を経て今の関係に至ったのかがまるで透けて見えてこず、終始違和感が拭えなかった。
もちろん、短編映画にそこまで求めるのも酷だと思うのだが、それならばもっとシンプルな人間関係にすればよかったんじゃね?
全然知らないし興味も持てない人たちの言い争いを見させられても…。あのこっちもヒマじゃないんで…。

俳優を生業としている青年のインタビューに、この4人のやりとりはサンドイッチされている。
どうやら主演映画についてのインタビューを受けているようなので、今作で描かれている種々の事象は映画内映画である、という事なのだろうか?それとも青年の実体験?
急に味噌汁作り出した時にはそんなバカな展開があるかとツッコミを入れていたのだが、まぁこれらが全て映画内映画だったとしたのなら許せるか。
本作のあれこれが事実だったのか虚構だったのか、そこをあえてボヤかして描くというトリッキーな手法により、物語の幻想性が高められていた。このツイストは悪くないんじゃない?

ただ、このインタビューの内容がちょっとキモい。
「この映画のテーマはなんですか?」という問いに対して「僕の物語の登場人物の幸せを崩そうとする人から彼らを全力で守る」とか「最期の時に彼らが側にいてくれるかはわからないけど、それまで生き抜こうと思う」とか言ってるけど、それって答えになってなくない?お前は誰と闘ってるんだ?
インタビュアーも「あなたも誰かの登場人物ですよ…😊」って、なにそれ?メンタルケアの現場かここは?
この「なんか良い事言って物語を締めよう」という小手先の脚本が鼻につく。物凄く当たり前のことを物凄く当たり前のセリフで言ってるだけだからそれ!!

余談だけど、映画ライターの高橋ヨシキさんが、インタビューをする時絶対にしてはいけない質問は「この映画のテーマはなんですか」ということだと言ってました。こんなん監督とか役者に聞いたら「テメーちゃんと映画観たのかなにコラタココラ!!💢」って言われても仕方ないですからね。
つまりこの映画に込められたメッセージは「こんなインタビューをしちゃあダメ」ということなのです(適当)!!

邦画らしい温度感とやり取りの作品。…といえば聞こえはいいけど、要するに退屈で湿っぽくていい話風なだけで中身はない、ということ。
せっかくメガホンを取ったというのに、なにがやりたいんだコラ!!誌面を飾ってコラ!!何がやりたいのかぁ、はっきり言ってやれコラ!!…と、心の中の長州力が吠えてしまいました。
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