TsuyoshiNomoto

デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版のTsuyoshiNomotoのレビュー・感想・評価

4.6
鈴によって、幻視をする、あるいは17世紀の世界に部分的に干渉するようになってから、いつ彼の視線の先に騎士たちが現れるか!という緊張感が観客に発生する。

以後、窓や柱、瞳、ガラス、枠<フレーム>を持つありとあらゆるものが騎士の登場を予感させる装置へと変わる。

また、視線というものは愛情、官能、不安、不思議、恍惚/興奮、それらの入り混じりによって構成されて、絶えず変化するものであると、各登場人物たちの表情と眼差しを絶えず画面の中に提示することで、眼差しというものがもつ、多面性、多様な色彩を提示される。

眼差しについて映画なんだな!と思った。そして、瞳というレンズ、そのレンズさえ変われば、そこに映る世界にはなんだって起こったっていい!という映画のおもしろさをダイレクト味わえたような気がします。

また、1度でも別な世界に迷い込んだ以上は、観る者も舞台の中に組み込まれ、物語や歴史に干渉することは余儀なくされる。そこに物語を駆動させるエロスと官能、それらに対するほんのささいな目配せさえあれば、映画とは、かくも美しきというまさに映画についての映画でもあると感じました。捨てても送り直される鈴に舞うスチロールの羽は、それに対する肯定として捉えてもいいのでは(?)

何よりも教会?のようなところで、初めて出会う彼女の美しさ、夜の電車の鮮やかな光の移動、見た価値ありました。
TsuyoshiNomoto

TsuyoshiNomoto