廃墟と化したホテル内をめぐる中で、そこで過ごした少年時代の記憶をたどる物語である。
過去のエピソードが、突拍子もなく次から次へと映し出される。中には荒唐無稽なもの(死後の世界をめぐるシーンには笑った)もあるし、いきなりエッチなものが出てきたりもする。
でも、少年時代の記憶ってそんなものだよなと思ってみたり。
だいたいの記憶は断片的だし、都合よく改ざんされていたりする。鮮明な記憶は印象の強いもの(エッチなものとか)に限られる。
過去と現在、虚構と現実が入り乱れて、迎えるラストシーン。
窓の外には、山中にあるはずのない海原が広がる。
いかにもダニエルシュミットらしい終わり方である。