たまて85

パレードのたまて85のネタバレレビュー・内容・結末

パレード(2024年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

遺された者と、遺した者。
どちらが辛いか、遺されたことしかない私には想像でしかない、遺して逝った者の気持ちを冒頭で長澤まさみが見事に体現。。自分に置き換え一気に感情移入してしまった。
又、スターサンズという社名が、河村プロデューサーが沖縄で集めた星の砂を売って成功したことに由来する話や、襟巻きトカゲを日本で流行らせたのも河村さんと言われるなどの、数々の実話を自伝的に映画に盛りこんでいるのをアレコレ知って見ているともうマイケルの一挙手一投足に泣けてくる。
アキラ(坂口健太郎)がこの世界のことを残そうとひたすら机に向かう姿や、マイケルから先を託されるシーンをみていると、アキラが藤井監督見えてくる。
勝利(横浜流星)が逞しい背中でヤクザの男らしさ全開なのに、繊細すぎる優しい表情で恋人を見つめるシーンは中盤でこの映画一番の見どころ。
マイケルが作ったヤクザ映画を勝利に見せるシーンは「ヤクザと家族」の映画になんで自分は出ていないんだと悔しがった横浜流星への藤井監督からのプレゼントか。そしてその感想で勝利が言う強がりのセリフもニクい。
河村プロデューサーがかつて愛した俳優達が勢揃いで、マイケルと過ごす姿を見ていると、河村さんは本当に幸せな人だと思う。
MOTHERの長澤まさみから、まさかラストでこのキャスティングか!と胸が高鳴ったり。
俳優陣は隅々まで豪華だが、藤井監督が河村さんと築き上げてきた交友関係でガッチリ固められており、音楽担当の野田洋次郎まで含め、人を大切にする藤井監督ならではのfamily感溢れるキャスティングに終始胸熱。
個人的には世代的に寺島しのぶのかおりに親近感で泣けるポイント。

大人達がわーってなって映画を作る楽しさを描いた、名もなき一篇・東京モラトリアム(藤井道人監督)の映画の撮影シーンを思い出したり、その主演の若林拓也が若きマイケルを演じていたり、若林拓也といえば横浜流星とはじこいドラマでゆりゆりの友人を演じる仲だったりと色々回想するのも楽しかった。

そして横浜流星と入れ替わるように登場する森七菜がラストまた泣かせる。
ぐるっと一周まわるこの感覚を最後に味合わせてくれるのが藤井監督作品の好きな所だ。