かりっと焼いた林檎と柑橘系果物

HINOKIO ヒノキオのかりっと焼いた林檎と柑橘系果物のレビュー・感想・評価

HINOKIO ヒノキオ(2004年製作の映画)
5.0
ふと購入したキングザイオンのソフビ人形からこの作品の事を知り鑑賞。

シュールなコメディ作品かと思いきや
少年少女の甘酸っぱい青春、不登校、恋愛など様々な要素を盛り込んだ
とても良いドラマでした。

主人公、サトルは事故で母を亡くし
それ以来ショックで部屋に引きこもり
学校へはロボット(ヒノキオ)を通じて通うというストーリー。

ガキ大将ジュンを演じる多部未華子さんがとてもとてもかわいらしく
最初の振る舞いが完全に男の子なのに
実は女の子でしたという展開も素晴らしい…
男子ならサトルの様にドキドキさせられる事請け合いです(笑)

サトルを演じる本郷奏多さんの演技が素晴らしく引きこもりつまらなく過ごす顔がジュン達と遊び徐々に表情が変わっていく様が愛おしく感じます。


不登校で学校へはロボットで通うという
現実になりつつある未来を上手く描いておりSFファンタジー作品ですがとてもリアリティーがあります。

2005年の作品ですがロボットヒノキオのCGも素晴らしく実写と見事に合成されていて本当にヒノキオがそこに居て演じている様にさえ思えます。

周りの人々と打ち解けても中々
本当の自分を表に出せず引きこもってゲームに溺れてしまう等現代の子供たちの悩みを見事に表現しています。

頑張れはかえって辛くなる、それより
辛くなったら死にたくなったら一緒に思いっきり遊ぼうという言葉がとても心に響きます。

ゲームと現実とのリンクや軍事用兵器と
少々突飛な展開もありましたが
悩める少年少女達へのエールと愛に満ちた
辛くて引きこもりたくなる人達にこそ観て欲しい傑作です。




余談ですが
この作品の美術をされた池谷仙克さんはウルトラセブンや帰ってきたウルトラマン、シルバー仮面等の怪獣デザインをされた方で作中に登場する人形キングザイオンはファイヤーマンに登場したバランダーvというロボットのデザインを使用したものです。
バランダーvはとてもカッコいいロボットなのでこの作品を観てキングザイオンがカッコいいと思った方は是非ファイヤーマンを観てみてください。(笑)