まぬままおま

女と犬のまぬままおまのレビュー・感想・評価

女と犬(1991年製作の映画)
4.0
第14回MyFrenchFilmFestival(MyFFF)にて。

5分短編の傑作ですね。素晴らしい!

1シーン1カットで、女性二人が街で何気ない会話をしているだけだが、物語になっている。

以下、ネタバレを含みます。

ルイーズともう一人の女性が二者択一を選ぶゲームをしている。「事故に遭って顔を怪我するか」か「両親が離婚するか」のように。ふざけた冗談だ。しかしルイーズはこのゲームを通して、彼女の本意を探ろうとしている。彼女は同性愛も問題ないのかどうか、と。

質問を繰り返す。けれど彼女ははぐらかす。しかも彼女から発せられる言葉は「彼氏」や「数学教師(イケメンなのだろう)」で異性愛規範に則っている。彼女はルイーズの質問の意図が分からず戸惑いもする。その顔をみているルイーズの表情はもどかしい。

けれど二人は仲がいい。「私に半年会わない」より「1年小遣いなし」を選ぶぐらいに。結局、彼女は「父と寝るか」「母と寝るか」も答えてくれない。そして最後に彼女から「そっちから電話してよ」と言われ、ルイーズは「分かった」という。このときルイーズは何が分かったのだろうか。ルイーズの悲しそうは表情が全てを語っている。

ゲームの破れは本意に迫る瞬間だ。しかしその破れが二人の恋愛を裂いたのであればそれは悲劇だ。そして友愛と恋愛ほど二分するのは難しい。いやその二者択一を選んでいる時点で破れが生じるのではないか、と不意に思った。