あるK-POPアイドルが性犯罪で逮捕され、彼に認知されファンダムの中でも有名な「成功したオタク」である主人公はオタクの在り方を考え直す。
この作品の終盤でチラッと映った女性が話した「(推し活は)程々に」というのがその通りだと思う。自分もK-POPが好きだけど、深入りしすぎないようにはしている。犯罪に関わらず、熱愛などにおいてもオタクは裏切られた！というが、そもそもアイドルは聖人では無いという意識を持たないといけない。最後、この作品の監督は別の推しを見つけてまた「成功したオタク」になろうとするが、それは根本的になんの解答にもなってない気がしてモヤモヤした。この人は結局また別の人に期待して、裏切られて、また別の推しを見つけるという消費行動のループに陥るだけなのではないか。この一件で学んだのであれば、先述した「一定の距離感を持ったオタク」になって欲しかった。それだったら結局この作品はただ自分の気持ちを整理するために作ったオナニー映画にしか思えない。まあこの沼から抜け出せないというのも分かるが。アイドルだって人間なんだからいずれファンの理想からは外れるだろうし、劇中で別のファンが語ってた「憧れの存在になる人は亡くなった人だけ」という言葉がしっくりくる。つまり、自分が生きている時代に既に亡くなった人の汚点は分からないため理想とすることが出来るわけだ。
この監督のオタク的価値観は自分とは離れていたのであまり共感はできなかった。この映画はオタク→アイドルという一方向だけの内容だったが、オタクの加害性についての映画も見てみたいところである。
