推し活という垣根を越え何かに夢中になった全ての感情に寄り添う暖かさ。
予告編にてまあまあタイムリーで面白そうだなと思った本作を見てみた。
まず本作は韓流アイドルのファンが撮ったドキュメンタリーになっており、犯罪を犯し活動を停止してしまったアイドルのファンたちにインタビューしていくのがメインプロットだ。ドキュメンタリーとしてはかなりオーソドックス、しかし実際に"推し活"を奪われた当事者が監督ということでいろいろとエモーショナルな気持ちが滲み出ている気がしてなかなかに新鮮さを感じる。
推しが犯罪を犯したことによって受け取る感情はファンによって様々、その一人一人の感情にしっかり寄り添い向き合う姿勢が良い。そして監督本人もそんな感情と向き合うことで自らの感情としっかり向き合うことができるというリアルタイムに感情が変化しているのがわかるドキュメンタリー仕様、切なさや憤り、もはや殺意さえ芽生える行き場の無い感情たちが身近に感じるぐらいホットだった。
あと同じ感情だと言う犯罪を犯し逮捕された大統領の支持者たちを取材するシークエンスがまた良い、何かに夢中になったことは変わらないしその感情を変わらず維持している人々がいる親近感。ラストはそんな人々を優しく抱きしめるような知見に到達する、いろいろなものに真っ直ぐ向き合うことが大事だと教えてくれる良ドキュメンタリーでしたな。
