後入れかやく

成功したオタクの後入れかやくのレビュー・感想・評価

成功したオタク(2021年製作の映画)
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 彼女たちのおもしろ行動(ヨーグルトマッコリのくだりばりおもろい)やキレキレのオタク語彙に笑ってしまうのと同時に、彼女たちも元々は推し活を純粋に楽しめる愉快なオタクだったんだろうなあと思って悲しくなってしまった。
 芸能人の不祥事は日本でもあることだけど、(刑事事件にはならなくても)不祥事があってタレントが降板するかしないかってなったとき、なぜかオタク同士が争っていて、「一番悪いのはあいつなのに!?オタク、喧嘩しないで・・・」ってなることがよくある。「推しのしたことは、絶対的に悪である。」ということを前提としながら、それをオタクがどう受け止めるかという構図にした監督の良識や、インタビューに答える彼女たちの発言の思慮深さに拍手を送りたい。
 推しの性加害と不起訴について、「(不起訴だから)慎重に語らなければならない」としながらも、「自分の社会における立場を考えて」と推しに厳しい目を向けるところまで行けるのは、当然のことではあるけど立派だなあと感じた。
 確かにオタクは勝手に推しを応援するし、「違うな」と思ったら離れることしかできない。行動としてはそうなんだけど、推す側のオタクだって、複雑さをもつ人間(本作品に出てくる聡明な彼女たちならなおさら)で、女性として日常的な性加害を意識せずにはいられないし、今まで(知らなかったとはいえ)あんなことをする人を推してきたという事実は存在するし、そこにどう向き合えばいいのかは本当に難しくて苦しい問題だと思う。