真田ピロシキ

成功したオタクの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

成功したオタク(2021年製作の映画)
3.3
正直眠かった。推していたK-popスターの性犯罪を前にファンが推し行為について振り返るドキュメンタリーであるが、大して目新しいものではない。ファンは推しに現実とは別の何かを抱いて熱狂し、それが醜いものだと知ったら受け入れられずに庇い続けるか憎しみへと一変する。日本の推し論議でも見れるような内容です。みんな今まで傾けた情熱と時間がしょーもないペテン師だったと認めたくない。だからつい庇いたがる。ジャニーズや松本人志とかね。

幸い私はくだらん奴に成り下がったと思ったらすぐさま切り捨てる性格で、若い頃にハマっていた椎名林檎も今では権威主義のロック気取りサブカル女と見限っている。現実にリアクションをするガチにパンクでヒップホップな春ねむりを先日福岡から東京まで見に行って最前列でオーオーと叫んでたくらいだが、彼女が望むように崇拝対象にするつもりはない。そういう考えなので、「私たちが出した金で悪事を働きやがって」と恨み言を述べる人は推しの悪事より自分の感情が裏切られたことを問題にしてて苦々しく感じられるのだが、自分にも思い当たることはあった。人間が対象ではない。だが自分はここ最近ですっかりゲームというものの大半を人生を浪費するだけのアヘンと思っていて、特に2000年代後半にハマって最近ドラマになったオープンワールドゲームFalloutシリーズをただただ何の意味もないことに時間を捧げたと後悔してて、その会社がバグフリーズ上等の不良品を平然と出していたことへの怒りも合わせて今や完全アンチとなっている。しかしこれは自分自身が変わったというのもあるし、結局は勝手に選んだ選択への後悔を責任転嫁してるだけなのかもしれないと少し自省。不誠実なメーカーという思いに変わりはないしドラマもゼッテー見ねーけどな。映画の締めに言われてたように程々の距離で推せるのが健全。何かに人生を捧げてはいけない。

知らないK-popスターの話で覚えていた眠気を少し覚ましたのは朴槿恵応援団の下り。究極の推し活。そしてこれは日本に住んでるととーっても思い当たりすぎる。スーパーボンクラ悪徳政治屋 安倍晋三をはじめとした自民党と補完勢力維新への崇拝。違うんだよ。政治家なんて使い捨て感覚で良いはずなんだ。推しの危うさを最も感じさせたのはここで、ここは政治を持ち込むのに躊躇のない韓国人の意識か。最も頷けるのは「永遠に推せるのは既に死んだ人だけ。死んだ人は汚点が生まれない」という下り。本当にそれが一番良い。私も金子文子と伊藤野枝しか推したくないです。