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成功したオタクのakoのネタバレレビュー・内容・結末

成功したオタク(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ゴールデンウィークという言葉は映画用語と聞いたことがあるのだけど、先日は妹にオススメされたのもあって「成功したオタク」を観てきました。

以下はネタバレ感想です。

ドキュメンタリー映画で、監督さんは、あるアイドルに認知されてるレベルのファンだったのだけど、その推しのアイドルが性犯罪で逮捕されてしまうという実際の出来事があって、監督自身とかオタク友達とか、同じ思いをした人たちのいろんな話があって、犯罪を犯した推しへの怒りとか悲しみとか性犯罪への拒否反応がありながら、推し活での楽しかった思い出まで否定したくない、というか自分が楽しかった過去は変えられないし、みたいな感じで、観てる側としても何ともアンビバレントな感覚になった作品でした。

私は特別に時間とかお金とかを遣っている推しという存在はいないのだけど、私がとても好きな著名人が性加害で逮捕されたらどうかなーと考えたら、その犯罪内容にもよるかもしれないけど、例えば私が大好きなエドワードヤン監督の過去の悪事とかが発覚したとして、私は、エドワードヤンを完全に絶つかというと、たぶんだけど、堂々とファンですと公言はしなくなるかもしれないけど、結局こっそり観ちゃうのではないかと思います。

というのも、昔に、私の好きなミュージシャンが、私の女友達をグーで殴って流血させたのだけど、その後もというか今もそのミュージシャンの音楽は聴いてしまっているので、身近な人が被害にあっても、もう聴かない、となれないのは、友達の被害が性的ではない傷害であることとか、私の正義感が弱めで薄情だからとかいろいろあるかと思いますが、特別な推しでないからこそというか、普通に好きくらいだとわりとそれくらいの温度の人が多いような気がしないでもないです。

ただ、私自身はアイドルでも有名人でも何でもないけど、ゴールデン街のバーの店員もある種の人気商売ではあるし、私のお給料になるお金を遣ってくださる方々の顔が見えやすいお仕事なので、犯罪はもちろんだけど、不祥事とか不道徳なこととか、撮られてネットで拡散されたら叩かれそうな行動とかも、できる限りはしないで生きていきたいなあとはよく思ってたりはします。

でも、だからといって、好感度を追及するとか、我を強さを抑えるとか演じるとかは、私の場合は出来ないしあまりしたくないので、あくまで私の中の強迫観念みたいなものなのだけど、買い物一つでも、大切なお金をこのコスメに遣うのはよくないかなあ、他のことに遣うよりはいいかなあ、とか、わりといちいちアンビバレントな感覚になったりはして、まあ大抵の場合は本当に欲しいものは買っちゃうし、元来のだらしなさが治ることはないのですが、それでも何となくだけど、欲望と自意識とほんの少しの謙虚さのバランスが、私の場合はだけど、不祥事対策としてわりと大切な感じがしています。

そういえば、この作品の監督さんは、犯罪者になった推しを卒業して、チョ・スンウさんのファンになってるのですが、最後の方にチョ・スンウのミュージカルのチケットがとれないシーンがあって、私、そんな貴重なチョ・スンウのミュージカルを観られたんだなあ、と、監督さんに少し申し訳ない気持ちになりつつ、そんな貴重なミュージカルに連れていってくれた妹に感謝だなあと思ったので、妹がこの作品を私に薦めた理由がわかった気がしました。
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