Leaf

π〈パイ〉 デジタルリマスターのLeafのレビュー・感想・評価

4.0
ダーレン・アロノフスキー監督長編デビュー作。制作当時29歳。今の作品に通ずるところを感じさせつつ、トガりまくっててセンスの塊。おそらく、結構な低予算な気がするけど、演出だけでもずっと面白い。

すべての事象は数字に置き換えられという仮説の元、頭痛に悩まされ、数字の法則性に取り憑かれた男が狂っていく様...

メイン題材でもある数字に合わせたデジタルサウンドの劇伴。定期的に繰り返されるルーティンは電子音楽の繰り返し構造はもちろん、閉じる=円を連想した。そして、白黒映像からは数字が持つ無機質さ。当然ながら、全部の要素に価値がある。

監督の何かに取り憑かれた人の表現は相変わらず秀逸。初期作であり、数字という題材のイメージから想起されるトビっぷりはブラックスワンやホエールようなどこか成熟した作品とは違った魅力がある。個人的にはちょっと荒っぽいこっちの方が好きかもしれない。

とはいえ、宗教観もかなり強く、ここらへんが日本人には多分とっつきが悪い(監督自身、保守的ユダヤ教の環境で育ったらしい)。
これまで観てきたコーエン兄弟作品の中で色々調べたのが幾分役だった気はするけど、当然全部はわかってない。

とにかく、表現方法がずっと面白くて話ようわからんでもそこは楽しめる気がする。
オーバードーズと絶対現実を反映していない映像が実際は何を反映してるのかとか考えると楽しい。蟻の解釈とか...

追記:
パンフレットがめちゃくちゃ秀逸で、特に最初の精神科医と数学者の人のレビューが対照的すぎて最高。人となりというか、職業として何を見てるのか。狙ってこの配置にしてると思うけど、良すぎてめっちゃニヤニヤした(内容が馬鹿馬鹿しいわけでは決して無い)。
あと、メインの曲のタイトルがπr2でそのドラムンベース違いが2πrってタイトルなのも最高すぎる。かっこよ。
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