マックス・コーエンの破滅と再生の物語。この世界はすべて数式で表現されていると固執し、ある数字を導き出すために、カオスの世界に自閉する。現実なのか、幻想なのか。この世界の真理を切り拓けば、自らが存在することも許されるのか。差し迫る謎の集団。この数字は私のものだ。
奇才、ダーレン・アロノフスキー監督の長編デビュー作品。『レクイエム・フォー・ドリーム』の原点。好奇心を掻き立てる映像とデジタルサウンド。決して、すべての観客が理解できる作風ではない。しかし監督が確立する世界観に共鳴しない観客を無為にせず、何らかの感情を心に引っ掛ける。というのも一コマ一コマ、芸術的表現にとどまらない、精緻に計算されたショットと音楽の融合をスクリーンで繰り広げる。その糸に引っ張られるように、気づいたら監督の世界観に没入している自分がいた。
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