ぐり

正義の行方のぐりのレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
3.5
とても怖かった
とても興味深かった

あそこに出てきた人たちは、きっと誰も嘘はついてないんだろう。
ただ、見えているものが、見ようとするものが違うから、結果、語る物語があんなにもズレてしまう。

事件の関係者たちが、とても真摯にインタビューに答えているようにみえた。
真っ直ぐインタビューに向かい合っているように。
そこに、この作品を作った人の、聞き手の力を感じた。


事件の当事者が何を語ろうとも
周囲は自分たちが見たい聞きたい物語だけ濾し取ってしまう。
そんな場面は、わたしの半径5メートルの世界でも何度か経験があった。
過去の事件でも、このような事象は見受けられる。

人は見たいものだけを信じる。
そして、信じたものを肉付けするために、また見えたものを歪曲していく。

人間の怖いところ、弱いところをむき出しにして、見せつけられた作品だった。

ほとんどインタビュイーの話だけで構成されているのに、158分飽きることがない。
キービジュアルにもなっている、森の画。
八丁峠や町の画。
ところどころの映像の美しさが、この作品により引き込まれる。
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