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正義の行方のSSのレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
4.0
不快という意味でもスッキリしないという意味でも、両義で非常に気持ち悪かった。

羅生門と準えてる辺り、実際にこの映画を撮っている本人(=語り部)も実は疑わしき、ということなのかもしれない。
かもしれないのだが、一旦その仮説は置いておいて…。

わたし個人としては、死刑になるほどまでの明確さがなくって、本当にモヤついた。
当時の警察の人たちの論拠も聞けば聞くほど「?」となってしまい。
少なくとも「120%犯人」と断定できるほどではない気がしてならない。
死刑弁護人でも思ったけど、死刑にするならもう少し明らかなクロでなければならないのでは……と、月並みに悶々としてしまった。

でも、あの警察の人々の話し方見る感じ、彼らは九間さんのこと100クロと思ってそうなんだよな。
え、すごいね?!その自信どこから?!って直観的に不快になっちゃったよ。

とはいえ、羅生門同様、仮に真実が異なっていたとして、本人達が「事実じゃないことを言っている」「捻じ曲げている」と認識して捻じ曲げているとも限らなかったりもするよなあ。と、映画館を出てから考えたりもした。
シンプルにそれぞれが信じる正義に依った結果、その側面でしか物事が見えなくなって、偏ってることにも気づかないまま走り続けてたりも、し得るよね。
真実は人の数だけある、というやつ。
あの國松さんと石山さんの主張の食い違いとかも、悪意ない相違って感じで、同じ類だよな〜と思って観ていた。

中盤までは警察の人々の意気揚々とした振り返りにモヤついてたし、みんなおじいちゃんおばあちゃんだから「えー」「うー」ってのんびり喋ってて、何話してるか分かんないとこも多くてやや眠くなった。
でも、終盤の西日本新聞の皆さまの取材はめちゃくちゃ面白かったし見ものだったや。
あれには希望持てたな。
なんとか再審してほしい。
無罪にしてほしいとかいうよりも、事実を知りたい。

ていうか警察の人達、120%と言いながら「〜と自分に言い聞かせてる」とか言ってたり、夢で色々見てる辺り、本当は私同様モヤってるんじゃないの〜?と思いつつ、
きっとこう思わせながら終えるのが、作り手の策なんだろうな〜?とも思った。
策にまんまとハマるわたし。
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