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心の旅路のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

心の旅路(1942年製作の映画)
4.0
1941年に出版されたジェームス・ヒルトンのベストセラー小説をマーヴィン・ルロイ監督が映画化した叙情的ラブ・ストーリー。
原題: Random Harvest (1942)

戦傷で記憶を失い、スミスと名付けられた男(ロナルド・コールマン)は、病院を抜け出し、踊り子のポーラ(グリア・ガースン)と出会う。
結婚し子どもも生まれ幸せな生活を送っていたスミス(スミシィ)は、仕事の依頼を受け新聞社へ向かう途中自動車事故に遭い、頭を強く打った衝撃で、本来の自分、チャールズ・レーニエとしての記憶を取り戻す。
それと引き替えに、今度は、ポーラとの生活、スミスとしての記憶を失ってしまう。
記憶を"二度失う"ことにより、物語は新たな展開を迎える。この作品の真価はここから。
スミスとしての記憶を失い、大実業家となったチャールズを、過去を隠したポーラが女秘書マーガレットとなって仕える。
ポーラは、チャールズに、ふたりの過去を思い出させようとするが…

「人間は寂しいと結婚に飛びついて、結局、失敗するのよ。
…私はその人には勝てないわ。私は二番目なの。でも、二番目で生きるには人生は長すぎる」

「あなたの中の豊かな愛情と生きる喜びが過去に埋もれてしまうなんて」

現実にはあり得ないお話ながら、逆にそれだからこそ、グリア・ガースン演じるポーラの穏やかな優しさ、気丈さに心打たれる。
チャールズに求愛する姪のようなキティ(スーザン・ピータース)も素敵な役を演じる。
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