ラジオ子ちゃん

Neneh Superstar(原題)のラジオ子ちゃんのレビュー・感想・評価

Neneh Superstar(原題)(2022年製作の映画)
4.5
ネネは名門校でバレエを学ぶ、っていう以外に
差別に耐える、っていうアンガーマネジメントを当たり前のようにこなさなければいけない。
実際にそれは日常に潜んでいる。
暴力沙汰を起こしたネネが詳しく語らずとも、両親は察する。それでも
『よくやった!』とか『やられたらやり返せ!』とか
『差別にあったなんて!ひどい!』ではなく、『そういうものだから対応していかなければいけない』と諭す。
それが現実なのか。と、なんとも心苦しかった。
ネネをいじめていた3人のうち、嫉妬がきっかけだった主犯の子は最終的には省みていたけど
ほか2人のあの感じこそ、日常に潜む差別そのものなんだと思う。
"いてもいいよ、だけど、わたしたちより目立つな、権利の主張はするな、賢くなってくれるな"とでもいうような根本のあれ。
今回は白人社会の中の黒人の話であり、
あの空間以外にも、残念ながら
場面が変われば男性社会の女性、
健常者優位の社会の障害者等々になり得るんだと思う。

そこを含めて、20年前を生きた(生き耐えた)校長が封印してきたものを
これでもかと解放してくれるネネの存在は、
校長からしたらそれは忌々しくもあり
でも本来こうしていきたかったもので。
その葛藤たるやあの時間内で視覚的にもとても丁寧に描かれていたように思う。

お父さんとの距離感がとても心地よかった。
最初の入学試験のような場面で、言葉は交わさないしあまりしっかり映ってないお父さんだけど
ネネの目の届く範囲に居て、
カバンを持ってあげて、
だからこそネネは安心してそこら辺の帰り道踊りに没頭する。
コミュニティから外れたら受ける仕打ちなんて承知の上で、決して止めることはしないし
過ちは叱る。なかなかできる事じゃないよ。。。
すごいよ父ちゃん。