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めまいのkikkiのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
3.6
屋上から見たビルの隙間、正方形のフレームに吸い込まれるような螺旋階段。「高さ」の恐怖をあらためて感じた。オープニング、後半の斬新なアニメーション、バラとそのブーケ、巻いた髪。渦巻きがめまいの象徴として不穏に物語っているよう。そんな中、私が一番不気味に思ったのは、ジュディをマデリーンに仕立てようとするスコティの執着だった。美しいキム・ノヴァクのエレガンスにも魅了されたが、"私なんてあなたにとってほんの一瞬ね""私を失った時に私の愛をあなたは知るのよ"等々儚げなセリフがとても印象的。
スコティはこれらの彼女の言葉を思い出すかしら。エルスターに利用されたとは言え、同様にエルスターに利用されたジュディを自分も高所恐怖症の克服のために彼女を利用した事と、幻のマデリーンであったジュディの愛に今後苦しみ続けるのかしら。ミッジがスコティを癒せることはないのかしら。そんな風にセンチメンタルな余韻のある、サスペンスとミステリーにロマンスが加わったヒッチコックの秀作。
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