ヒカル

めまいのヒカルのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
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アルフレッド・ヒッチコックは映画史上最も有名な監督であり、映画史上最強のド変態である。面白い映画を撮る監督に変態の率が高いのは、ヒッチコックかその作品がもたらす何か強い影響なのかもしれない。
でもって、そんなヒッチコックの最高傑作、つまり最高の変態映画が『めまい』である。
高所恐怖症の主人公のスチュアートの前に自分のせいで死んだ女にそっくりの美女があらわれる。
ここで「前の女にそっくりだから好きなんだよ!文句あるか!」と堂々と言い切ってしまうのが変態王ヒッチコックの凄いところだ。
スチュアートは女の髪型を変えさせ、服を変えさせてどんどん理想の女に仕立てていく。これは「愛」という美名の下に行われる搾取である。
男は理想の中にある女しか愛せず、女は男の理想の姿でしか愛されない。
女は自身のありのままの姿を全て否定され、男が夢にまで見た理想の姿になった時、映画史上に残る悲劇が起きる。
ヒッチコックは、その変態性によって男女の愛の残酷な側面を映し出して見せたのだ。
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