わたがし

めまいのわたがしのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
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 初めて観た。こういう名作を28歳にもなって初めて観ても毎回新鮮な感動はあんまりなくて「ああ、こりゃ名作だな」「この映画はこれのパクリなんだな」的な発見がほとんどになってしまう。
 そして、こういう原点的なものを観るよりも後世の現存する偉人たちによるヒッチコックオマージュのほうが何倍も面白かったり新鮮に感じたりするわけで、じゃあ、あらためてこういう名作を今のタイミングで初めて観る行為は答え合わせ以上の理由はあるんだろうか的なことを思ってしまった。価値があるし傑作なのはわかる。観るにはまだ若すぎるのか。
 ヒッチコック映画は遥か昔に『サイコ』を観ただけで他は何も観てないんだけど、ちゃんと面白かった。キャラクターが少なくて話がわかり易くて安心する。めまいショットもちゃんと味わったし『氷の微笑』がこれの下品版なのもわかった。
 男の視線での「女」の不可解さ、気持ち悪さ、それと同時に魅惑的に感じてしまう感じと「映画」に対するそれがごちゃ混ぜになって、心理的な決着をつけようとしてこういうストーリーを語っているのがすごくわかる。
 こういう明らかにパーソナルな感覚の発露話を冷静にわかりやすく美しいショットの積み重ねで2時間以上魅せ切るのがやっぱりすごいし、あらゆる映画のお手本になるべき名作だなと思う。
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