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めまいのefnのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
3.7
 脚本はサイコサスペンスだけど、画のつくりは幽霊映画だよね。虚空を見つめてフラッと歩くキムといい、彼女を包む緑色の照明といい、サスペンスとは別のベクトルで動いてる。ジェームズスチュアートと抱き合ってるシーンで唐突に物置にマッチカットでつないでいるのも印象的だった。
 前半の墓地も良い。遠くから墓を見つめるジェームズの視点から切り返す...けど全然違うキムの背中のアップショットから彼女がどんどん遠ざかっていく。そこはフルショットで逆光だろ、と普通は考えるけど、そこは画と編集で違和感を出す。
 投身現場の尖塔も何だか異様。下から見たら広角で撮ったみたいに歪んでるし、上から見たら塔だけが太ってる。あと屋根も遠近感が狂うくらいに広い。
 教会がドイツ表現主義みたいだし、演出はラングっぽいし、何だか脚本とは無関係な部分が肥大化していて気味が悪い。(褒めてる)
 鳥といい、この頃のヒッチコックは物語とは別のところで実験していて楽しいな。
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