義民伝兵衛と蝉時雨

ラ・カリファの義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

ラ・カリファ(1970年製作の映画)
3.2
モリコーネのベスト版でテーマ曲を初めて聴いた時から、ずっと恋焦がれていた「ラ・カリファ」。
念願叶い待望の初鑑賞も、
自分の頭の中で長年かけて熟成されてきた、この曲の音色の持つ甘美な郷愁感と、本作への膨れ上がった憧憬が、かえって仇となり、自分よがりの空想とはいかぬ内容に、当然の如く興が醒めた。
モリコーネのこの旋律とチグハグとも言えるような情景を見る度に、やはり盟友セルジオ・レオーネの感性の素晴らしさを思わずにはいられなかったし、ベルトルッチ監督「1900」の美しさなども脳裏に過った。
只、それでも、ロミー・シュナイダーのカリスマ的な美しさには本作でも息を呑み続けた。
モリコーネの旋律と情景のチグハグ感を物ともせぬような、シュナイダーのこの存在感が兎にも角に心に残った。
モリコーネの名曲とシュナイダーの圧倒的発光に支えられただけの作品だと思えたが、その両者の才能の素晴らしさは圧巻。