camuson

コーカサスの虜のcamusonのレビュー・感想・評価

コーカサスの虜(1996年製作の映画)
4.3
トルストイの原作は未読です。

コーカサス地方とは黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス山脈周辺をいい、
南コーカサス(山脈以南)が、アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアなど
ロシアから独立した国家から成るのに対し、
北コーカサス(山脈以北)は、チェチェン共和国を含むロシア連邦に属する
7つの共和国がひしめく地域です。

調べたところによると、本作は150年前に書かれたトルストイの原作を下敷きに、
舞台を現代の(当時の)チェチェン紛争に置き換えたもののようです。

息子を捕虜にとられたチェチェン人が、
捕虜交換で息子を奪還するために、ロシア軍に奇襲をかけ、
若いロシア兵(主人公)とベテランのロシア兵の2人を捕虜にするという話で、
山岳地帯のチェチェンの一村における捕虜生活と、脱走劇を追った内容です。

腕に自信のあるベテラン兵士は、ヒヨッコ主人公を尊大にあしらうのですが、
(これはこれで、軍隊の形式張った感じは全くなく、いやみがなく、面白いのですが)
捕虜としては何ら変わらぬ立場上、関係が次第に微妙に変化していくところや、
捕虜と、監禁主の娘や、看守役の男とのやりとりが、
それぞれの立場を踏まえた上で、ごく自然に微妙に変化していくところなどが、
取り立てて大きな感動があるわけではないものの、
嘘臭さがなく、どこか暖かみがあり、楽しめるのですよね。
見始めてすぐにいい映画だと安心できました。

でもやはり、戦争なので、背中の後ろはすぐ死がある状況で。。。
意外とあっけなく死んでしまうのも、下手に感動を演出していないところもいいです。


※主人公を演じたセルゲイ・ボドロフJr.は、
2002年北オセチアで起きた氷河崩落事故
(映画撮影クルー27人を含む125人が犠牲に)
に巻き込まれて亡くなっています。
残念です。
camuson

camuson