トルストイの原作は未読です。
コーカサス地方とは黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス山脈周辺をいい、
南コーカサス(山脈以南)が、アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアなど
ロシアから独立した国家から成るのに対し、
北コーカサス(山脈以北)は、チェチェン共和国を含むロシア連邦に属する
7つの共和国がひしめく地域です。
調べたところによると、本作は150年前に書かれたトルストイの原作を下敷きに、
舞台を現代の(当時の)チェチェン紛争に置き換えたもののようです。
息子を捕虜にとられたチェチェン人が、
捕虜交換で息子を奪還するために、ロシア軍に奇襲をかけ、
若いロシア兵(主人公)とベテランのロシア兵の2人を捕虜にするという話で、
山岳地帯のチェチェンの一村における捕虜生活と、脱走劇を追った内容です。
腕に自信のあるベテラン兵士は、ヒヨッコ主人公を尊大にあしらうのですが、
(これはこれで、軍隊の形式張った感じは全くなく、いやみがなく、面白いのですが)
捕虜としては何ら変わらぬ立場上、関係が次第に微妙に変化していくところや、
捕虜と、監禁主の娘や、看守役の男とのやりとりが、
それぞれの立場を踏まえた上で、ごく自然に微妙に変化していくところなどが、
取り立てて大きな感動があるわけではないものの、
嘘臭さがなく、どこか暖かみがあり、楽しめるのですよね。
見始めてすぐにいい映画だと安心できました。
でもやはり、戦争なので、背中の後ろはすぐ死がある状況で。。。
意外とあっけなく死んでしまうのも、下手に感動を演出していないところもいいです。
※主人公を演じたセルゲイ・ボドロフJr.は、
2002年北オセチアで起きた氷河崩落事故
(映画撮影クルー27人を含む125人が犠牲に)
に巻き込まれて亡くなっています。
残念です。