菩薩

トアの菩薩のレビュー・感想・評価

トア(1949年製作の映画)
4.2
トアと言うかメタやないかと皆がツッコミを入れそうな力技。特に前半部なんてオノ・ヨーコで言うところのハプニングばりに一回しか使えない裏技をまんまとギトリに使われたみたいな印象。劇場型演劇映画とでも勝手に名付けるけど、徹底して第四の壁が突破され、それに伴い人生はそれ即ち演劇、人間は皆役者が徹底されていく。舞台から自宅に場を移したところで結局そこで再現されるのは演劇の延長としか思えず、観客は観客のまま自らの役を演じさせられ続ける。虚構即ち創作がひたすら現実世界に流れ込み互いに行き来を続け渦を巻き続ける。逆によくこのカオスにケリをつけたなとの思い、劇中で「トア」とは日本にある「東亜村」を意味するとの言及があるが、おそらくそんな村は存在していない…?嘘つきは演劇のはじまりであるとの開き直り、天晴れ。
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