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荒野の用心棒 4K復元版のtorumanのレビュー・感想・評価

荒野の用心棒 4K復元版(1964年製作の映画)
3.8
レオーネ、イーストウッド、モリコーネが送る「ドル箱三部作」の第1作目。

これと『夕日のガンマン』の4kレストア版をハシゴ鑑賞してきました。
スクリーンでの鑑賞はいずれも初めてです。

マカロニウェスタンは映画界のB級グルメ、映画界の異端児。
今までのアメリカの西部劇とは根本的に文脈が違います。
これの礎を創ったのがこの作品です。

・劇画のような外連味溢れるキャラクター
・極端なアップと引きの絵を組合せたドラマチックな編集
・日本人に染みいるモリコーネの叙情的なテーマ

アメリカに先行して日本でヒットした事がよく分かります。
(同じくアクション映画の異端児『マッドマックス』もそうでした。)

作品のベースは黒澤明の『用心棒』をそのまま拝借しています。
『用心棒』も西部劇を意識して制作されていたので、どうしても比較してしまい、自分の中で本作は「ドル箱3部作」の中ではちょっと落ちてしまいます。
しかし、ラストになだれ込むスカッとするアクションは、唯一無二のもの、カタルシスを感じます。

兎に角、若いイーストウッドのカッコ良さに尽痺れます。
トレードマークのポンチョと葉巻をガリっとかじったカリスマ的ないでたち、余り喋らない謎めいた雰囲気、早打ちの鮮やかさ。

映画に限らず、色々な分野でオマージュされているのも納得です。
(映画では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の3作目が有名ですよね)

予告編が終わるとグイーンと画面が横に広がるテクニスコープ、モノラル音源の太くてゴツい音、昔の映画のワクワクが詰まっていました。

自分より年配の方々で満員の劇場。
映画が終わって、テーマ曲を口笛で吹く観客が至る所で…分かります(笑)
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