456京都公式

荒野の用心棒 4K復元版の456京都公式のレビュー・感想・評価

荒野の用心棒 4K復元版(1964年製作の映画)
5.0
山田康雄氏のイメージ(ルパン)や
黒澤明監督の元ネタ(用心棒)の印象で
軽妙な作品かと思いきや
いたってシリアスで
ほとんどハードボイルドなのだ

だから元ネタと比較するのは
あまり意味がない気がする
もちろん類似点は山ほどあるけどね
当たり前だ
そして余計に違いが際立つというわけなのだ

冒頭で水を飲みながらマリソルを見つめるシーン
元ネタ作品では同様に井戸の水を飲みながら親子の諍いを見て
どちらもその後の行動のベースになります
三船敏郎は町の平和のために策を講じますが
イーストウッドのモチベーションは女なのです
とは言っても性欲じゃなく懺悔のようなもの
たしかにどちらもヒーロー像として成立してます

ちなみにケビンコスナーの「ボディガード」も
「用心棒」を精神的な下敷きにしていますが
あっちはもっと露骨に
女のために命を張る男としての用心棒職(≒武士道)だけを
ピンポイントで掘り下げてて
まぁとりあえずカッコつけてるだけです

ラストの決闘シーンでみせた「作戦」は
イーストウッドには似つかわしくないユーモアがあります
もうライフルに勝つにはあれしかない
基本的に彼自身には面白味がないのですが
相手の違和感を立てることによって面白くする
上岡龍太郎のようなキャラクターだと思います
あの「作戦」にしても
ボケ(させられ)てるのは完全にラモンだもん

セルジオレオーネ監督の独特な
というかクセの強い絵のリズムも
やっばり黒澤明監督の影響下にあるみたいですが
アタクシ的にはむしろ
きうちかずひろ氏の
「BE-BOP-HIGHSCHOOL」を読んでいるような感覚でした

結局アタクシの鑑賞力や文章能力が低すぎて
比較しながら書いてしまいました

宿題の読書感想文に悩まされてるよいこも
対象になるなにかを見つけて
その作品と比べて
似てるところと違うところを
2つ3つあげたりしておけば
適当に原稿用紙は埋められると思いますよ