ペーパーライク

イカとクジラのペーパーライクのレビュー・感想・評価

イカとクジラ(2005年製作の映画)
4.1
事ある毎に見る作品、
やっぱり好き。

タイトルと繋がるラストシーンの意味をいつも考える。

イカとクジラの巨大な展示物は、不仲な両親のメタファーで、幼い頃は恐れていたが、劇中の様々な事を経て成長した長男にとっては、恐怖の対象では無くなる。

それを駆け足で再確認しに行く姿は、逆に幼さを感じる。

ラストシーンで完成する長男の
この大人とも青年ともとれない微妙な立ち位置のキャラクターを成立させた演出と脚本にいつも感服する。

この映画の影響と自分が親になって思う事は、親って意外と自分勝手に生きているということ、どの家庭もそうだと思うけど子供が美化している親の印象は、自分が大人になった時、大なり小なり崩れてしまう。
終盤、父親の病室で長男が急に泣いてしまったのは、その瞬間だったと思う。

家族間の触れてほしくない所をずけずけと描くこの作品は、良い意味でデリカシーが無くとても好きな映画。