わか

ソイレント・グリーン デジタル・リマスター版のわかのレビュー・感想・評価

3.8
半世紀前の人たちが思い描いた、2022年のディストピア。
歴史のどこかで道を間違えた人類。

人が溢れ床一面に人が敷き詰められるように寝ている姿や、新鮮な野菜や果物は愚か、ジャムも肉もやすやすと手に入らず、ソイレントというプロテインバーのような食べ物を配給で貰う事が当たり前になった世界、50年前にこの作品のスタッフたちは何を思って、この作品を作ったんだろうと考えさせられる。

日本では高度経済成長の頃で、きっと未来に夢や希望を描いていた人たちが多かった中で、この作品は当時どんな評価を受けたのだろうと気になった。

マンションを借りると若い女性が「家具」として付随したり、警察の調べ物を手伝う人間を「本」として同居させたり、社会の崩壊の表現としてこういう描写とは初めて出会った。

PLAN75を観た時に衝撃を受けたアイデアが、この作品には既に登場していて、自分が知らないだけで映画の奥深さを思い知らされた。

生きるために必要だとして、それをすることへの是非、真相を知らせることが正しいのか、知らぬが仏とするのが幸せか、あえて劇中で描かないことで観た人に問題提起をするのが凄いなと。

エンディングの映像が、劇中のあるシーンで流される映像と全く一緒なのがマジで鬱。
わか

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